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【厚労省も警鐘】飲食店のカスハラ実態 | 離職を防ぐ5つの対策を解説

  • 執筆者の写真: すぐメシくんコラム編集部
    すぐメシくんコラム編集部
  • 2 日前
  • 読了時間: 12分

「スタッフが顧客対応で泣かされていた」

「理不尽なクレームにどこまで対応しなきゃいけないのか分からない」


ご自身のお店でも、このような経験はありませんか?


飲食店では今、カスタマーハラスメント(通称:カスハラ)が深刻な問題になっています。

特に人手不足の中で現場を支える若手スタッフにとって、悪質なクレームは心身の負担となり、離職にもつながりかねません。

東京都で全国初の「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されたことも記憶に新しいのではないでしょうか?


厚生労働省も、飲食業界におけるカスハラの影響に注目し、具体的な対策事例を公表しています。

本記事では、飲食店で起こりやすいカスハラの実態と、すぐに実践できる5つの対策を紹介いたします。



飲食店における「カスハラ」とは?

カスハラの定義と事例

カスタマーハラスメント(通称:カスハラ)とは、顧客が事業者や従業員に対して、社会通念を逸脱する不当な言動や行為を行うことを指します。

飲食店で見られる具体例としては、以下のような行為が挙げられます。


  • サービス内容への過剰な要求や執拗なクレーム

  • 大声での暴言、人格否定、揚げ足取り

  • 無断で写真や動画を撮影しSNSに投稿

  • スタッフ個人を特定し攻撃するような言動

  • 土下座の強要やその撮影


こうした行為は、通常のクレーム対応の範囲を超えており、従業員の心理的安全性を脅かすだけでなく犯罪とみなされるケースもあります。


飲食店における「クレーム」と「カスハラ」の違い

飲食店における「クレーム」は、顧客が問題解決や謝罪を望んで不満を伝え、店舗として適切な対応をすることで収まることが多いです。


一方「カスハラ」はクレームの範囲を逸脱し、攻撃的かつ威圧的な態度で店舗としての通常の対応以上のもの(土下座や金品など)を求めたり、感情を爆発させたりします。


クレーム

カスハラ(カスタマーハラスメント)

目的

問題を改善・解決したい

攻撃・支配・ストレス発散などが主

態度・言葉遣い

冷静または不満を伝えるレベル

暴言・恫喝・人格否定・土下座の強要など

要求内容

店舗側の対応・説明・謝罪を求める

過剰・不当な謝罪、金品要求、店員への嫌がらせなど

社会通念上の妥当性

一定の妥当性がある

明らかに逸脱していたり、違法な場合も

対応の必要性

真摯に受け止めて改善につなげるべき

毅然と拒否すべき場合も

「料理が冷たかった」「注文が遅い」

「土下座しろ」「全部タダにしろ」「SNSに書くぞ」

飲食店視点では、クレームは受け止めるべきもの、カスハラは毅然と対応すべきものだと言えるでしょう。



飲食店でカスハラが増えている理由

もともとカスハラに当たる行為は見られていたものの、最近になってさらに増加し、「カスハラ」という呼称まで付いて問題視されるようになりました。

ここ数年でカスハラが増加した背景には、以下のような要因が複雑に絡み合っています。


過剰な「お客様は神様」意識

かつてはサービスを提供する側の意識として使われていた「お客様は神様」というフレーズを盾に、過剰な要求をする顧客が一定数います。


さらに2004年の消費者基本法の改正により消費者の保護や権利に注力され、サービス提供側が強く出にくい空気が作られてしまったことも否めません。

本来不利な立場になりがちな消費者を守るはずの法律でしたが、それを逆手に取って「店員は客の言うことに逆らえない」という認識の顧客が増える要因になったとも考えられます。


SNSで「叩く」文化

店の気に入らなかった対応をSNSで晒して、不特定多数で「叩く」行為が快感になっている顧客も一定数います。


なかには顧客側の誤解が含まれていたり、事実と異なるケースもあり、飲食業界にとって現代の深刻な問題の一つと言えます。


高齢化の影響

加齢に伴い、感情の制御が難しくなることもカスハラに至る原因だと言われています。

実際にカスハラと認定された人の年齢は60歳以上の高齢者が多く、高齢化によりその割合がより高くなっていることも影響していると言えそうです。


また、高度経済成長期やバブル経済期の「低価格×過剰なサービス」に慣れている層でもあり、物価高への不満も相まって、過剰サービスの廃止に反発してしまう高齢者が一定数いることも否めません。


飲食業界のカスハラの現状と社会の動き

カスハラが離職に与える影響

厚生労働省の公表資料によると、飲食業の入職率は32.6%、離職率は26.6%と、他産業と比較して非常に高水準です(令和5年データ)。


この背景には、理不尽なクレームや暴言などによる精神的負担が影響していると考えられており、現場の声としても「辞めたい理由にカスハラを挙げる従業員が増えている」という報告が上がっています。


従業員の離職は店舗の人員確保や教育コストにも直結し、経営的なリスクとなるため、組織全体で早期に対策を練る必要があるでしょう。


逮捕者が出るカスハラ事例も

カスハラ事例の中には犯罪にあたる行為もしばしば見られ、実際に逮捕される事例もあります。


男性客が「接客態度が悪い」として店員に対して怒鳴りながら土下座を強要、さらにその様子をスマホで撮影しSNSに投稿したケースでは、「業務妨害および強要罪の疑い」で逮捕されました。


また別の店舗では、執拗に悪質なクレームを繰り返した男性客が「出入り禁止」を命じられたにも関わらず来店し、退去要請に応じなかったため「建造物侵入罪」「不退去罪」で逮捕された事例もあります。


以下は法律に抵触する可能性があるカスハラ行為の例です。

カスハラ行為例

該当する可能性のある法律・罪名

補足

土下座を強要する

強要罪(刑法223条)

「義務のないことを無理やりさせた場合」に適用

大声で怒鳴る・恫喝する

脅迫罪(刑法222条)または迷惑防止条例

暴力的発言で恐怖を与えた場合

暴力をふるう

暴行罪(刑法208条)、傷害罪(刑法204条)

ケガの有無で変わる

店員の顔写真を無断撮影しSNS投稿

名誉毀損罪(刑法230条)、肖像権侵害

実名や顔写真が晒された場合は特に注意

何度も電話や来店でクレームを繰り返す

威力業務妨害罪(刑法234条)

店の通常業務を妨げる行為

虚偽のクレームで返金や謝罪を求める

詐欺罪・詐欺未遂罪(刑法246条)

意図的に虚偽の情報を用いた場合

性的な言動・接触(「かわいいね」「LINE教えて」など)

セクハラ(都道府県の迷惑防止条例等)

被害の程度により刑事・民事の両面で対応可能

店員を長時間拘束して説教

不退去罪(刑法130条)、業務妨害

正当な退店依頼を拒否する場合も対象


厚労省・業界団体の取り組み

厚労省は2022年に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作成し、企業の対応指針を明確に示しました。このマニュアルでは以下のようなポイントが強調されています。


  • カスハラの定義と類型を明確にすること

  • 社内ルールを整備し、対応フローを明文化すること

  • 従業員教育(ロールプレイ・eラーニング等)を実施すること

  • 社内で相談しやすい仕組みやエスカレーションルートを用意すること


中小飲食店が抱える課題

外食業界においては、日本フードサービス協会などが中心となり、研修会や情報共有を推進していますが、特に中小規模の店舗では未整備のままのケースも少なくありません。


特に小規模な飲食店では、店長が現場の全対応を担っている場合も多く、その場しのぎの対応になったり、店長が一人で抱え込んでメンタル不調に追い込まれてしまうことも多いです。

これはスタッフの安心感を奪うだけでなく、店舗全体の士気やサービス品質の低下、最悪店舗の閉鎖にも繋がりかねません。


飲食店のカスハラ対策事例


実際に飲食店ではどのようなカスハラ対策を取っているのでしょうか。

厚生労働省「飲食分野におけるカスタマーハラスメント対策の取組について」の事例をもとに紹介します。


カスハラ禁止ポスターの掲示(ケンタッキーの事例)

「お客様のご意見は大切にしていますが、従業員に対する暴言・威圧的な行為はご遠慮ください」

というポスターを店舗入口やカウンターに掲示する取り組みが、飲食店を始めとするサービス業界で広がっています。


日本ケンタッキー・フライド・チキンでは、カスハラと見なされる行為を具体的に明記したポスターを作成し、来店客に対して企業の姿勢を明確にすることで、従業員を守る環境づくりに取り組んでいます。


ポスター掲示は、コストをかけずにすぐ導入できる対策の一つです。

飲食店が「黙って我慢しない」という姿勢を表明することで、未然防止につながります。


名札を匿名化(タリーズコーヒーの事例)

カスハラの一環として、従業員のフルネームや個人情報を特定する行為が問題視されています。

タリーズコーヒージャパンでは、従来の「漢字+ローマ字」のフルネーム表記をやめ、「イニシャルのみ」の名札に変更。これにより、スタッフのプライバシーを守ると同時に、不当な個人攻撃を防止しています。


名札にニックネームやローマ字のみを使用することで、名前を知られる不安による精神的負担の軽減に繋がります。


防犯カメラの設置(千房ホールディングスの事例)

大阪発の飲食チェーン「千房」では、全直営店舗にクラウド型の防犯カメラを導入。カスハラやトラブルが起きた際、映像を証拠として活用できる体制を整えました。


カメラの存在は“見られている”という抑止力となり、問題行動の未然防止にも効果的です。「スタッフを守るための道具」として、映像記録を活用する店舗は今後も増えていくと見られます。


中小規模の飲食店でもできるカスハラ対策


接客マニュアル+ロールプレイの導入

多くの飲食店では、通常の接客マニュアルはあっても、カスハラ対応用の手順書は未整備のことがほとんどです。

厚労省のガイドラインでも、「対応マニュアルの明文化」と「ロールプレイ研修」の導入が推奨されています。


具体的には、「謝罪すべきでない場合」の断り方フレーズ集を整備したり、新人研修で実際のやり取りを再現する練習を導入するといった対応が考えられます。

対応や事例が明確化されていることにより、スタッフ一人ひとりが萎縮せず、適切な判断・対応がしやすくなるでしょう。


社内の共有体制とエスカレーションルールの整備

カスハラを受けた従業員は「自分が我慢すればいい」と抱え込んでしまうケースが少なくなく、結果としてモチベーション低下や離職につながることもあります。

重要なのは、スタッフが「報告していい」「むしろするべきだ」と思える社内文化をつくることです。

たとえば、以下のような取り組みが有効です。


  • カスハラに遭遇したと思われる際の報告ルートを明記

  • 店長・オーナーが相談窓口であることを明示

  • カスハラ報告を減点評価対象にしないことを明示


小さな店舗でも、「何かあったらすぐ相談してOK」という空気感があるかどうかが、スタッフの安心に直結します。


カスハラを未然に防ぐ仕組み化とは?

カスハラ対策というと、どうしても「何か起きてからの対応」に目が行きがちですが、もっと重要なのはトラブルが起こりにくい構造をつくることです。ここでは、未然防止のために実践できる“仕組み化”の工夫をご紹介します。


店舗の方針を可視化

店舗の方針を可視化して掲示することも効果的です。


たとえば、ホームページや店頭に「従業員への暴言・迷惑行為は固くお断りしています」といったメッセージを掲載することで、顧客に“線引き”を伝えることができます。

これにより、「スタッフに迷惑をかけてもいい」という誤った認識を防ぐことができるのです。


従業員を尊重する雰囲気づくり

最も大切なのは従業員が“守られている”と感じられるルールと風土をつくること


  • 困ったときはすぐ報告する

  • スタッフの意見を尊重する

  • 店長が一人で抱え込まない

こうした社内の雰囲気の連鎖が、大事な従業員がカスハラで潰れてしまうことを防ぐ土台になります。


ITシステムでの物理的接点の削減

いま注目されているのが、ITシステムによる物理的接点の削減です。セルフレジやセルフオーダーの導入により、従業員と顧客との接触機会が減ることで、接客に対する不満を抱く機会を削減できます。


特にモバイルオーダーは顧客が自分のスマートフォンから注文ができるため、接客態度やオーダーミスによるトラブルの発生率も下がるでしょう。

さらに「オーダー待ち」のストレスも減らせるため、クレームの発生源を減らすことに繋がります。



まとめ:スタッフが安心して働けるお店づくりを

飲食店におけるカスタマーハラスメントは、単なる「クレーム対応」の範囲を超え、現場の従業員の心身に大きな負担を与える深刻な課題です。


「お客様第一」はもちろん大切ですが、それはスタッフの安全と尊厳が守られてこそ成り立つもの。従業員が萎縮しながら働く環境では、サービスの質も維持できず、結果的にお店全体の雰囲気や評価にも影響してしまいます。


本記事で紹介したように、ポスター掲示や名札の工夫、マニュアル整備やカメラ導入など、カスハラ対策は今日からでも始められるものばかりです。

さらに、モバイルオーダーなどの仕組み化によってトラブルを未然に防ぐ工夫も、今後ますます重要になっていくでしょう。



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