近年、飲食店を中心に注目を集めている「配膳ロボット」は、人手不足や業務効率化への対応として、多くの店舗で導入が進んでいます。
料理や飲み物を正確に運ぶことができるだけでなく、人件費削減やスタッフの負担軽減といったメリットも期待できることから、導入を検討している人も多いはずです。
この記事では、配膳ロボットの基本的な特徴や導入のメリット・デメリットに加え、費用対効果やおすすめの機種について解説します。
配膳ロボットの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
配膳ロボットとは?特徴を紹介
配膳ロボットの特徴は次の通りです。
注文品を自動で運び、スタッフの負担を軽減できる
ホテルでも使えるようなシンプルなものもある
人手不足の解消・人件費の削減に繋がる
配膳ロボットとは、飲食店やホテルなどで使用される自律型ロボットで、料理や飲み物をテーブルまで運ぶロボットを指します。
最大の魅力は、配膳・バッシング作業の一部を任せることでスタッフの作業負担を大幅に軽減できることです。
大量に繰り返し発生するのが配膳・バッシングですが、スタッフにとっては精神的・肉体的な負荷が多いもの。配膳ロボットを導入すれば、配膳の際は厨房まで料理を載せるだけで、バッシングの際もお皿を載せるだけで自動で運んでくれるように。
ホールに必要なスタッフの人数も減り、スタッフの負荷も軽減されるため離職率を下げるのにも貢献してくれます。
時給100~300円で利用できる
配膳ロボットは、導入コストや月額利用料を考慮して時給換算すると、約100~300円で利用できる計算になります。
人件費と比較すると非常に低コストで、長時間の稼働もできるため、特に人手不足や人件費の削減が課題となっている飲食店では、大きなメリットを得ることが可能です。
このコストパフォーマンスの高さが、配膳ロボットが注目されている理由の一つ。
なお配膳ロボットの価格については、以下の記事で解説しているためぜひ参考にしてください。
・「配膳ロボット 価格」の記事へ内部リンク
ホテル用などシンプルな機種もある
配膳ロボットには、ファミリーレストランや居酒屋のような飲食店で使用されるものだけでなく、ホテル用などのシンプルな機種も存在します。
例えば、ホテル用のロボットは客室まで荷物やルームサービスを運ぶことに特化しているものがあり、エレベーターに乗って階を移動することも可能です。
配膳ロボットができること
昨今、飲食店で多々見かける配膳ロボットですが、どのようなことができるのでしょうか。
ここでは、配膳ロボットができることの具体例を解説していきます。
キッチンから客席まで料理を運ぶ
食後のバッシングを手助けする
音声ガイドなどでお客様を案内する
1. キッチンから客席まで料理を運ぶ
配膳ロボットの主な役割は、調理済みの料理や飲み物をキッチンから客席まで正確かつ安全に運ぶこと。
事前に設定されたルートやテーブル番号に従って移動するため、毎回ルートを設定することなく運搬してくれます。
また、一定速度で安定して動くため、人が運ぶよりも料理がこぼれたり崩れたりするリスクも抑えられるようになります。
2. 食後のバッシングを手助けする
配膳ロボットの中には、使用済みの食器やトレイを回収する機能を備えたものもあります。
食後のバッシング作業をサポートすることで、スタッフが次のお客様へのサービスや他の業務に集中できるように。
こうした機能は、ホールスタッフに人員を割けない店舗や、ピークタイムの混雑に効率よく対応するために役立つことが見込めます。
3. 音声ガイドなどでお客様を案内する
音声ガイドを搭載した配膳ロボットの場合は、料理を運ぶだけでなく、お客様を案内することも可能です。
人間の場合だと接客に個人差がありますが、配膳ロボットの場合はあらかじめ設定しておいた内容をアナウンスできるため、サービスの品質担保・均一化にも役立たせることが可能です。
配膳ロボットでは難しいこと
料理を運んだり、バッシングの手伝いをしてくれたりなど、スタッフの負担軽減に役立つ配膳ロボットですが、一方で実現が難しいこともあります。
ここでは、配膳ロボットでは難しいことの具体例を解説していきます。
段差や急な坂を乗り越える
配膳・下げ膳の完全な無人化
段差や急な坂を乗り越える
配膳ロボットは、基本的にフラットな床での移動を前提に設計されています。
そのため、店舗内に段差や急な坂がある場合、乗り越えることは難しい場合が多いです。
そのため、バリアフリー化や段差を避けるルートの設定が必要となり、導入時に環境を整備する手間が発生する場合があるため注意が必要です。
導入に際して不安を感じている人は、試験導入でチェックしたうえでレイアウト変更やロボット側の設定で対応するようにしましょう。
配膳・下げ膳の完全な無人化
配膳ロボットはホール業務の効率アップをサポートしてくれますが、完全に人の手を介さずに配膳や下げ膳を行うことは難しいのが現状です。
料理をトレイにセットしたり、使用済みの食器をロボットに正しく積み込んだりする作業は、依然としてスタッフが手作業で行わなければなりません。
また、特殊な対応が必要な場合にも柔軟に対処できるのは人間スタッフの特徴。
ロボットの発展は目を見張るものがありますが、現時点ではあくまで補助的な存在であり完全な無人化にはまだ可能となってはいません。
配膳ロボットを導入するメリット
システムはただ闇雲に導入すれば良いわけではなく、目的や解決できることを正しく理解しておかなければなりません。
ここでは、配膳ロボットを導入するメリットについて解説していきます。
ホールスタッフ分の人件費を削減できる
スタッフの負担が減り定着率が上がる
余裕ができお客様に割ける時間が増える
1. ホールスタッフ分の人件費を削減できる
配膳ロボットを導入することで、ホールスタッフが行っていた配膳・バッシングの一部を代替できるため、人件費を抑えることが可能です。
特に、慢性的な人手不足に悩む飲食店にとって、スタッフを増やさずに運営効率を改善できる点は大きな魅力。
人件費の負担を削減しつつ、ピークタイムで店内が慌ただしい状況であっても、安定したサービスを提供できることは大きなメリットであると言えます。
2. スタッフの負担が減り定着率が上がる
配膳ロボットによって料理を運ぶ作業や店内の移動が代行されることにより、スタッフの身体的な負担を大幅に軽減できます。
スタッフが定着しない原因には「仕事の負担が大きい」「ピーク時の忙しさは精神的に辛い」などが挙げられますが、一部をロボットが負担してくれるため、疲労やストレスが減り働きやすい職場環境の実現が可能に。
実際、Softbank Roboticsの記事では「配膳の負担が多く、店がピリピリした雰囲気になりやすかった」という悩みが解決した事例も紹介されています。
仕事量や職場環境の改善、離職率が課題となっている店舗は、配膳ロボットの導入を検討してみるのがおすすめです。
3. 余裕ができお客様に割ける時間が増える
従来、人が行っていた業務をロボットが補助してくれるため、その分スタッフには余裕が生まれます。
この余裕を活用して、お客様への接客業務に注力することができるように。
Softbank Roboticsの記事では、サービスの質向上とスタッフの負担が軽減された事例も紹介されています。
このように、配膳ロボットの導入は効率化だけでなく質の高い接客を実現する手段としても効果的であると言えます。
配膳ロボットを導入するデメリット
人件費やスタッフの負担を軽減でき、サービスの向上が見込める配膳ロボットですが、その一方で導入に際しては注意しなければならないこともあります。
ここでは、配膳ロボットを導入するデメリットを解説していきます。
店舗の雰囲気に影響を与えてしまう
初期費用の回収まで時間がかかる
レイアウトなど店舗の整備が必要になる
1. 店舗の雰囲気に影響を与えてしまう
配膳ロボットの導入は、店舗の雰囲気に良くも悪くも影響を及ぼします。
特に、落ち着いた雰囲気やアナログな接客スタイルを重視している店舗では、ロボットの存在が違和感を与え、お店での体験を損なう可能性があるため注意が必要です。
もちろん、配膳ロボットにも種類があり、カジュアル向けなものから、シンプルなデザインのものまでさまざまなラインナップがあるため、一概にクラシカル・高級感ある雰囲気に合わないとは限りません。
ただあくまで「配膳ロボットの導入は雰囲気に影響を与える」と認識したうえで、店舗のコンセプト・雰囲気を慎重に考慮してから導入を進めていきましょう。
2. 初期費用の回収まで時間がかかる
配膳ロボットの導入には、数百万円から場合によってはそれ以上の初期投資が必要。
例えば買い切りで導入する場合、初期費用として約200~350万円程度の費用が発生します。
初期費用だけではなく、メンテナンス費用、さらにトラブル時の修理費用なども加味すると、導入後すぐにコストを回収するのは難しいケースが多いです。
特に、来客数が多くない店舗や、食事提供の単価が低い店舗では、初期費用の回収に時間がかかる可能性が高くなります。
そのため、事前にコスト対効果を慎重に計算してから導入に踏み切りましょう。
3. レイアウトなど店舗の整備が必要になる
配膳ロボットをスムーズに運用するには、店舗のレイアウトも見直さなければなりません。
ロボットが移動しやすい通路幅を確保したり、障害物を取り除いたりするために、店舗全体の配置を変更する必要があることも。このようなレイアウト変更には、時間と労力を要します。
また、狭い店舗や複雑な構造の店舗ではロボットの運用が制限されることもあり、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性があるため注意が必要です。
店舗レイアウトに不安がある人は、いきなり導入に踏み切らず、まずは無料トライアルできるものから試してみるようにすると、失敗のリスクを軽減できます。
配膳ロボットを導入すべきケース
配膳ロボットは、飲食店の運営において効率化を図るための有効なツール。
ここでは、配膳ロボットを導入すべき具体的なケースについて解説します。
人件費を削減したい
人手不足に悩んでいる
配膳に業務が圧迫されている
ケース1. 人件費を削減したい
人件費が経営を圧迫している店舗にとって、配膳ロボットは効果的な解決策。
初期導入には費用が発生しますが、その後はホール作業を自動化することで必要なスタッフの人数を削減でき、コストを抑えることが可能です。
さらに、ロボットは休憩やシフト交代の必要がないため、長時間にわたり安定した稼働が可能です。
営業時間が長い店舗やピーク時の稼働率が高い店舗では、投資対効果を実感できるはずです。
ケース2. 人手不足に悩んでいる
慢性的な人手不足に直面している店舗では、配膳ロボットの導入が非常に効果的。
特に、採用が難しい地方店舗・深夜営業を行うお店では人材確保が課題となりがちです。そういったケースでは、配膳業務をロボットが担うことで現場スタッフの負担を軽減し、既存の人員でスムーズに店舗運営を続けられるように。
また、従業員が過剰な負担を抱えなくなることで、離職率の低下や従業員満足度の向上も期待できます。
ケース3. 配膳に業務が圧迫されている
飲食店において、繁忙期やピークタイムに配膳業務が過剰に集中すると、スタッフの動きが制限され、接客や店舗の品質管理に手が回らなくなることは珍しくありません。
配膳ロボットを導入することで、配膳作業を効率化し、スタッフは顧客対応や清掃、調理補助といった他の重要な業務に集中できるように。サービス品質が向上し、顧客満足度やリピーター率の向上につながる可能性が高まります。
また、スタッフのストレス軽減にも寄与し、働きやすい職場環境を実現する助けにもなると言えます。
配膳ロボットの導入費用と費用対効果
配膳ロボットは、飲食店の業務効率化や人件費削減に貢献する一方で、導入に際して初期費用や運用コストが発生するため、費用対効果については十分な検討が必要です。
ここでは、配膳ロボットの導入費用と費用対効果について解説します。
購入なら約200~300万円
配膳ロボットを購入する場合、一台あたりの初期費用は約200~300万円が目安です。
購入のメリットは、長期的に使うとレンタルよりもコストを抑えられる可能性が高いこと。
ただし、初期投資が大きいため本当に効果があるのかの入念な検証が必要になります。
また、故障時の修理費用やメンテナンス費用が別途必要になる点も考慮しなければなりません。
レンタルなら月約3万円~
購入に比べ、レンタルの場合は初期費用を大幅に抑えることが可能です。
契約内容や機種によって異なりますが、月額費用は約3~10万円ほどを見込んでおきましょう。
レンタルのメリットは、初期投資の負担が少なく導入のハードルが低い点。また、最新の機種を定期的に利用できる場合もあり、新機能の追加に対応しやすいのが魅力であると言えます。
ただし、一般的には購入よりも運用コストは高くなるため、「それでも導入する価値はあるか」と入念に検討しましょう。
回収には一定の時間がかかる
「配膳ロボットの導入費用を回収できた」と実感するには、一定の時間を要するケースがほとんど。
購入の場合はそもそも初期費用が高額で、使いこなすのにも時間がかかるためです。
営業時間の長い店舗ではロボットの稼働時間も長くなり短期間で投資回収が可能なこともありますが、営業時間が短い・そもそもスタッフの時給が高くないという店舗では長い時間がかかってしまいます。
「大きな投資をしてもその費用を回収できるか不安」という場合はレンタルを選ぶのがおすすめです。
配膳ロボットと人間の役割分担は?
次の表は、配膳ロボットと人間の役割分担をまとめたものです。
役割 | 配膳ロボット | 人間 |
配膳・バッシングなどの作業 | 決まった作業をストレスの心配なく大量に繰り返せる | 柔軟にできるが、大量の繰り返しはストレスが溜まる |
お客様からの要望対応 | 難しい(ソフトウェアに制限される) | 柔軟にできる |
コミュニケーション | 柔軟には難しいが、個体差はない | 柔軟にできるが、スタッフの個人差がある |
上記のように、人間は柔軟な対応に向いており、配膳ロボットは繰り返し行う業務に向いています。
「配膳のような大量に発生する繰り返し作業はロボットに、接客のような柔軟な対応が必要なものは人間に」と役割を分担していきましょう。
おすすめの配膳ロボットをケース別に紹介
配膳ロボットの種類は多岐に渡るため、導入を検討している人はどれを選んだら良いか悩んでしまうこともあるでしょう。
ここでは、おすすめの配膳ロボットをケース別に紹介していきます。
BellaBot|表情豊かでファミリー層から人気

「BellaBot」の特徴は次の通りです。
特徴 | ・複数ロボットの共同作業が可能 ・表情や音声で場がなごむ |
料金 | 月額7万円~(購入元による) |
BellaBotは、ネコ型の表情豊かな配膳ロボットで、ファミリー層から人気が高いモデル。
猫をモチーフにした形状・表情などなごやかな雰囲気が魅力のため、ファミレスなどカジュアルな雰囲気の店舗に導入しやすいと言えます。
また、見た目だけではなく、ロボットとしてのスペックにも注目です。
例えば、スタッフが1日に200~300皿の料理を運ぶのに対し、Bellaは約400皿の料理を運ぶことができるため、店舗の回転率向上にも期待できます。
また、複数での共同作業も可能であるため、広い店舗への導入もおすすめです。
Delivery X1|落ち着いたデザインでホテルなどにも

「Delivery X1」の特徴は次の通りです。
特徴 | ・スタイリッシュなためホテルなどでも使える ・合計最大30kgまで積載可能 ・約6時間の充電で約16時間の稼働が可能 |
料金 | 要問い合わせ |
Delivery X1は、ソフトバンクロボティクスが提供する配膳ロボットです。
最大の特長は、スタイリッシュなデザイン。ファミレスというよりは、ホテルなどの高級感ある店舗やシックな雰囲気の店舗にマッチします。
また、約6時間の充電で約16時間稼働でき、最大積載量も30kgとパワフルなため、ホテルのバイキングやビュッフェなど、大量の下げ膳にも活用可能です。
価格は非公開のため、気になった際は問い合わせてみましょう。
Luckibot Pro|会話も可能なハイエンド型

「Luckibot Pro」の運営会社と特徴は次の通りです。
特徴 | ・料理識別カメラ搭載 ・14インチの大型タッチパネル搭載 ・AIによる高度なコミュニケーション能力が可能 |
料金 | 要問い合わせ |
Luckibot Proは、中国北京市に本社を構えるOrionStar社が開発した次世代型AI配膳ロボットです。
最大の特長は、業界初の料理識別カメラの搭載をはじめ、料理が置かれている部分を照らすライトによって暗い環境でも料理が受け取れるなど、スペックとユーザビリティの高さにあります。
また、ChatGPTとGoogle音声認識を活用しており、認識精度97%のAI会話機能ができることにも注目。
もちろん、AI機能によるコミュニケーションであるため多言語に対応しており、外国からのお客様とのコミュニケーションにも活用できます。
高度な機能が豊富に搭載されていることから、配膳・下げ膳以外にもロボットに任せたいと考えている人は、一度チェックしてみてください。
配膳ロボットよりも手軽な人件費削減なら「すぐメシくん」

この記事では、配膳ロボットについて、以下の点を解説しました。
配膳ロボットの特徴やメリット/デメリット
配膳ロボットを導入すべきケース
導入費用と費用対効果
配膳ロボットと人間の役割分担
おすすめ配膳ロボット
配膳ロボットは、従来スタッフが運んでいた料理の提供や下げ膳などを代理で行ってくれるため、人件費の削減や負担の軽減によって生産性の向上が見込めます。
一方で、購入すると初期費用が約200万~300万円と高額であり、レンタルする場合であっても月額3万円~の費用が発生するため、長期的に利用すると結果として高くつくこともあるため、導入には十分な検討が必要です。
その点、モバイルオーダーシステムであれば、配膳ロボットのように高額な初期費用も不要で導入でき、コストと業務負担の軽減が期待できます。
現在、月額一律3,300円(税込)で使える業界最安級のモバイルオーダーシステム「すぐメシくん」では無料トライアルを実施中。
お客様がテーブルにあるQRコードをスマホで読み取り注文し、その情報が自動で集計される仕組みとなっています。そのため、オーダーにかかる時間を大幅にカットすることが可能です。
本当に必要な機能だけに絞り込んだシンプルなシステムだからこそ、デジタルに不慣れな方でも問題なく使いこなせます。
無料トライアルを利用すれば、1ヶ月間費用を発生させることなくお試しで導入していただくことが可能です。「これまで業務システムを導入したことがなくて不安」という方も安心してトライしてみてください。
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